1993年度意見書・要望書

1993年9月18日

厚生省保健医療局精神保健課長
平良 専純 殿

精神保健従事者団体懇談会
                代表世話人
                高橋  一(日本精神医学ソーシャルワーカー協会)                 樋田 精一(病院・地域精神医学会)
森山 公夫(日本精神神経学会)

連名団体
全国自治体病院協議会 全国精神医療労働組合協議会 全国精神障害者社会復帰施設協議会全国精神保健センター長会  全国精神保健相談員会 全国保健・医療・福祉心理職能協会 
全日本自治団体労働組合衛生医療評議会 日本医療社会事業協会  日本作業療法士協会 
日本集団精神療法学会 日本精神医学ソーシャルワーカー協会  日本精神科看護技術協会
日本精神神経学会 日本総合病院精神医学会 日本臨床心理学会 病院・地域精神医学会

 

「地域保健法」制定に関連して、公衆衛生審議会精神保健部会の
開催についてのお願い

 

 現在「地域保健法」制定にむけての動きが休息になっています。このことは、わたしたち精神保健従事者にとってもきわめて重大な問題であると考えます。
 精神保健の根本的な改善にとって、地域諸資源の在り方をどう整備してゆくかが、きわめて重要であります。その意味で「地域保健法」制定と連動して、地域精神保健がどう整備されるかが、これらの精神保健のあり方を決定するといっても過言ではないと思います。
 以上の視点から、公衆衛生審議会精神保健部会を早急に開き、「地域保健法」制定に連動しての地域精神保健体制の整備についての見解を煮詰めるよう、わたしども精神保健従事者団体懇談会として要請致します。精神保健の改善のため、是非ともこの点ご配慮いただきたくお願いいたします。


厚生大臣 丹羽 雄哉 殿

精神保健従事者団体懇談会
                代表世話人  
               高橋  一(日本精神医学ソーシャルワーカー協会)                 樋田 精一(病院・地域精神医学会)
            森山 公夫(日本精神神経学会)

連名団体
(五十音順)  全国自治体病院協議会 全国精神医療労働組合協議会
全国精神障害者社会復帰施設協議会 全国精神保健相談員会 
全日本自治団体労働組合衛生医療評議会 日本医療社会事業協会   
日本作業療法士協会 日本集団精神療法学会 日本精神医学ソーシャルワーカー協会   
日本精神神経学会 日本総合病院精神医学会 日本臨床心理学会 病院・地域精神医学会

 私たちは、精神保健法見直しの作業が極めて厳しいという状況を踏まえて、平成4年12月15日、貴職宛に『「精神保健福祉法見直し」にむけての要請』を提出いたしました。  
  しかし、その後の情勢の推移を勘案し、更なる論点の煮詰めを行い、先の要請を一部修正し、改めて提出いたします。
 ご多忙中誠に恐れ入りますが、よろしくご配慮下さいますようお願い申し上げます。

1)懸案の「定義」・「保護義務者」について  
「定義」に関しては、精神障害者を精神疾患患者と直し、精神疾患の定義を「国際的に認められた医学的基準」に即して行うことを要望します。なお、強制的な医療の対象については更に問題点を煮詰めることが必要と考えます。
 「保護義務者」の条文については、「監督義務」の「実効性」の無さ等問題点を明らかにして、保護義務者の負担を出来る限り軽減する方向で、速やかに見直すことを要望いたします。
2)地域精神保健・医療・福祉について一章を新設する。  この法律の目的(第1条)に照らして、「医療及び保護」の章の他に「精神保健・医療・福祉」に関する章を立てることを要望します。
 その中でまず第一に、精神科も一般科なみに二次医療圏を設定し、都道府県が保健・医療・福祉の計画を策定する旨を盛り込み、次に精神保健法上の社会復帰施設の必置義務を明記する必要はあると考えます。そして保健所における対人サービスなどの機能を強化し、市町村の保健センターにおいてもこれらの業務を行うことが望まれます。さらに、共同住居など住宅の供給、作業所等への資金援助の拡大、コミュニティセンターの設立、職の拡充へ向けての規定、その他地域精神保健の充実に必要な事項を可能な限り盛り込む必要はあると考えます。
 なお、関連して、大都市特例の実施はすみやかに行われるよう要望いたします。
3)インフォームドコンセントの項を立てる。  昨年採択された国連原則の実現とも関連させて、総則の中にインフォームドコンセントに関する一項目をきちんと立てるよう要望致します。  
 また、医療法の中でこの問題の検討がなされる際に、精神科の問題についても検討がなされることを要望します。
4)施設外収容禁止事項(48条)・任意入院者の処遇の問題  施設外収容禁止事項のために精神疾患患者の受ける不利益についてはすでに多く指摘されています。この対象を「行動制限を必要とする精神障害者」と規定することにより、現状を緩和することを要望いたします。
 また、重症の身体疾患を合併した者は、当該専門科でも入院医療を受ける権利を有します。それゆえ早急に地域保健計画による合併症病棟の設置がなされるよう要望いたします。
5)法見直しの継続について  今回の法見直しに当たって改正が困難と思われる事項については、それらの事項を明確にした上で、引き続き法の見直しをすることを法文に明記するよう要望いたします。             
                    
以  上